コンサルタントとして10年以上の経験を持つcococo太郎によるコンサルタント的PowerPoint資料の作成テクニックを紹介。
コンサルタントになる人、コンサルタントだけどPowerPoint資料作成に悩んでいる人、PowerPoint資料作成がもっと上手くなりたい人必見です。
本記事は前編となります。後編も併せてご覧ください。
結論:PowerPoint資料作成はストーリー作成までで8割決まる
結論ですが、PowerPoint資料作成は大きく6つのステップで実施します。
このうち最初の2ステップでPowerPoint資料は8割その出来栄えが決まると言っても過言ではありません。
また、この2ステップはPowerPointを使わずに行う作業となるため、PowerPoint資料がうまく作成できない・・・!という方は多くの場合この大事なステップを実施していないことが多いです。

事前準備としての目的設定とストーリー作成を正しい手順で実施することでPowerPoint資料作成のレベルが格段に上達します。
筆者のPowerPoint資料作成レベル
本題に入る前に、本記事でPowerPoint資料作成について語るcococo太郎のPowerPoint資料作成スキルのレベルを確認しておきましょう。
(本当にcococo太郎の言うことを信じてもよいのか?というところですね・・・(笑))
cococo太郎はコンサルタントとしての日々の業務でPowerPoint資料作成を行っています。
- 10年間以上、PowerPointによる資料作成をしています
- 資料は提案書、説明資料、報告書、プロジェクト成果物などを作成しています
- PowerPoint資料作成の社内トレーニング講師を担当しています
- 自身で資料を作成することもあれば、チームメンバが作成する資料のレビューも行っています

よって、PowerPointによる資料作成経験とスキルレベルはコンサルタント会社の中でも一定認められている人間であると勝手に自負しております(笑)
(とはいえ、私自身まだまだなところもありますので、日々成長のために勉強しています。)
PowerPoint資料作成はコンサルタントにとってなぜ重要か?

コンサルタントの仕事は何か?という話は本題ではないため触れませんが、コンサルタントの仕事でもコミュニケーションは様々なシーンで求められます。
相手に何らかの行動を促すため仕事上のコミュニケーションを取りますよね。
例) サービスを採用してもらうために提案をしたり、承認を得るために説明をしたり。。。
PowerPoint資料はこれらコミュニケーションを円滑に取るために有効なツールとして重要視されます。
- PowerPoint資料は相手に対して直感的で正確な理解をさせることが可能であるためコミュニケーションツールとして有効である
- 図やグラフを中心に視覚的に説明ができます
- 伝えたいメッセージを明確に示すことができます
よって、クライアントやパートナー会社、社内の関係者など様々な方と円滑なコミュニケーションを図るコンサルタントにとってPowerPoint資料作成が重要だと捉えられています。
PowerPoint資料作成のステップと実施事項
ここからPowerPoint資料作成ステップの全体像と各ステップでの実施事項を見ていきましょう。
1.PowerPoint資料作成のステップ

PowerPoint資料作成のステップは大きく6つになります。
事前準備:
①目的設定
②ストーリー作成
③情報収集
PowerPointスライド作成:
④スケルトン作成
⑤スライド作成
⑥流れ整理
特に事前準備は必ず実施するようにしましょう!
事前準備では資料の根幹となる目的やストーリーを整理するため、これらの事前準備を行わずにPowerPointによるスライド作成に着手すると資料作成は失敗してしまいます。
PowerPoint資料作成の進め方の全体像がイメージできたら各ステップで実施する内容を確認していきましょう。
2.ステップ①:目的設定
まず初めに資料の目的を明確にします。
相手に「期待する行動」、そのために「伝えること」を明確にすることで資料作成の方針が決まり、効率的な資料作成が可能になります。
- 「誰」に対してどんな「行動」を起こしてもらうか、そのために「伝えるべきこと」を整理すること
- 資料作成におけるもっとも重要な作業
- コミュニケーションの目的を達成するための資料を作成できるようにするため
- 相手に何らかの行動を促すことができる資料とする必要があります
- 資料作成自体が目的になることを避けます ※資料はあくまでツールです
- 資料の作成方針を決めるため
- 資料のストーリーや構成、内容などを決める際のベースとなります
目的設定は具体的には次のように進めます。

1.「伝える相手」の分析:
→メッセージを伝えたい相手を1人に絞ります
→この際、相手の知識レベルや物事の判断軸となる重要視ポイントなどを分析します
※資料に含めるべき情報の内容や粒度が変わってきます
2.「期待する行動」の策定:
→資料を伝えた相手がどういった行動をしてほしいかを決めます
→具体的に3W1Hの観点で整理するとより資料で伝えることが具体的になります
3.相手との「関係性」の分析:
→相手と自分とのパワーバランスなどの関係性を考慮します
→相手からの自分に対する信頼度や関係性の長さによって伝えたいメッセージに対する根拠となる情報量が変わります
4.「伝えること」の策定:
→1.~3.の内容に基づいて相手に伝えることを決めます
→ステップ②のストーリー作成のインプットとなることを意識して、ストーリーの要素を何となくイメージして含めておきます
ステップ①の目的設定は以上です。
誰に何を伝えるための資料なのか?というPowerPoint資料作成を成功させるための重要なポイントを整理するステップになりますので、必ず最初に実施しましょう。
※目的を失って迷子になってしまったPowerPoint資料は作っていて悲しくなります。。。(涙)
3.ステップ②:ストーリー作成
ステップ②ではストーリー作成として、ステップ①の目的設定で導出した「伝えること」に沿った、スライド構成、タイトル・スライドメッセージ、スライドタイプを決めます。
資料の骨子となるためこのステップも重要な作業となります。

1.スライド構成を決める:
→「伝えること」を複数要素にわけてスライドに割り当てます
→「伝えること」によって分ける要素は異なります
- 相手の立場になる
- 「伝えること」に対する相手の理解度などを考える
- 全体から詳細、という流れを意識して要素を並べる
慣れないうちはうまくスライドの構成(流れ)を作ることができないかも知れませんが、資料の読み手となる相手の立場を考えながら全体感から詳細を詰めていく流れを意識することで次第に上手になっていくと思います。
ぜひ頑張ってみてください。
「伝えたいこと」のタイプに応じた使うシーンが多いスライドの構成例を紹介しますので、参考にしてみてください。

2.タイトル・スライドメッセージを決める:
→次はスライドのタイトルとスライドメッセージを考えます
→相手が一番初めに着目する部分となりますので、スライドの内容を分かりやすく相手に伝えるため具体的でわかりやすい記載とすることが重要です

- 具体的でわかりやすいものにする
- 短くまとめる
- 体言止め、または名詞で終わる
- 伝えたいメッセージを記載する
- メッセージは1スライドにつき1つにする
- 主張を含める
- 文章で表現する
スライドメッセージはそのスライドで伝えたいこととなるため、しっかりと考えて記載します。
3.スライドタイプを決める:
→最後にボディのスライドタイプを決めます
→箇条書きにするのか、図解にするのか、表にするのか、グラフにするのか、このタイミングである程度イメージをしておきます
→タイプを組み合わせて複合タイプとすることも可能です

ここまででストーリー作成は完了です。
まだPowerPointでの作業は始まっていませんが、ここまででスライドの全体像が決まっていることかと思います。
4.ステップ③:情報収集
事前準備の最後のステップは情報収集です。
これまででPowerPoint資料で記載する内容とメッセージが決まっているかと思いますので、その説明に必要なインプット情報や根拠となる情報などを集めます。
- 情報収集は時間との勝負のため時間を決めて実施する
- 効率的な情報収集をするため、最初に詳しい人に聞く
ここまでで事前準備は完了です。
ここからはPowerPointを使って実際にスライドを作成していきます。

なお、ここからのステップ④、⑤、⑥は後編でご紹介いたします。
オススメ本
cococo太郎がコンサルタントのPowerPoint資料作成を勉強するならコレだ!!というオススメ本を紹介します。
PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則、という本がオススメです。
正直この1冊だけまずは読みましょう、というレベルで私は愛用してほしいと思っています。
- この1冊で、PowerPointの資料作成の全体像から細かいスライドルールまで全てのPowerPoint資料作成のルールを網羅して学ぶことが可能である
- ショートカットキーやクイックアクセスツールバー、配布資料の印刷やプレゼンのコツなど、資料作成に係る細やかな周辺テクニックにも言及されている点も使い勝手が良い
基本的には上記一冊をベースに、あとは自分で色々とPowerPoint資料作成を進める中で苦手に感じる部分についての本を読む進め方が費用も抑えられて効果的にスキルアップ出来るので良いと思います。
強いてもう1冊挙げるとすれば、超・箇条書き、という本をオススメいたします。
- 箇条書きのテクニックを様々な具体例を用いて丁寧に説明しているのでイメージを掴みやすい
- 箇条書きの基本的なテクニックから、より高度化させるためのテクニックが紹介されており、箇条書きが苦手な方から一定のレベルに達している方の両方にも参考となる内容である
会議時のメモ取りから報告資料のエグゼクティブサマリまで、箇条書きはコンサルタントにとって利用シーンが多いスキルとなります。
コンサルタントにとって必須スキルの1つとなりますので、1冊本を持ってしっかりと勉強しても良いと思います。
まとめ
PowerPoint資料作成の進め方の全体像と6つのステップのうち前半3つをご紹介しました。
前半3つのステップはPowerPointを使わずに実施する作業ですが、資料作成の8割方が決まる重要な内容となります。
後半3つのステップも重要な内容が満載となりますので併せてご覧ください。